2005/07/06

今更、虫歯の原因

前述の通り歯磨きはご自身ではきちんとしていると思っておられる方が多いことと、かなりきれいに清掃されているように見えても、実際は歯と歯の間や、歯と歯肉の境目に取り残していることがあることをお話しました。どんなに頑張っても完璧なまでに歯垢を取り除くことは現実的に難しいことです。歯垢の中で酸が作り出されて虫歯ができることは事実としても、歯垢だけを問題にして虫歯の原因とすることは危険です。むしろ歯磨きは歯肉の状態を健康に保つため、歯周病の予防には効果的なことですが、虫歯予防に歯垢をとるだけを目的に歯磨きをしても大きな効果は望めません。

今迄、虫歯の原因を歯垢の中にいるミュータンス菌としていろいろ論じられてきましたが、歯垢の中にミュータンス菌がほとんどいない歯垢でも糖を食べると歯垢に棲む他のレンサ球菌が酸を作り出し、エナメル質の溶けだすph5.5以下になることがわかっています。ですからムシ歯の原因菌として言われてきたミュータンス菌が歯垢の中にいることより、虫歯になりやすい食習慣や環境がもっとも注意すべき問題だと思います。

キシリトール・ガムはミュータンス菌を減らすなどと言うキャッチ・フレーズをよく耳にします。ガムを噛むことは虫歯予防に効果的ですが、ミュータンス菌を減らすことが効果の要因と考えるのは早計です。虫歯は複合的な原因で発生することは事実で、前述の通り言わば食生活習慣病といってもいいのではないでしょうか。近年歯に対する健康意識がとても高くなったとは言え、いまだに欧米と比較して砂糖の消費量は1/3しかないのに3倍もの虫歯保有者がいるのは、誤った原因理解と方策の遅れにほかならないような気がします。

2005/07/05

キシリトール神話の危険

xyliyolgum
歯に良いことを謳ったキシリトール・ガムはいろいろあるけれど・・・・。

虫歯の原因(歯垢は虫歯の原因なの?)
キシリトールが虫歯の原因にならないことは一般によく知られることになりましたが、キシリトール・ガムを咬めば虫歯にならないとか、キシリトールを食べると丈夫な久歯ができるなどと少し誤った理解をされている方がずいぶんおられます。そこで、虫歯の原因から考えてキシリトールに対する正しい理解をしていきましょう。

一般に砂糖(スクロース)を食べるとお口のなかにいるミュータンス菌が砂糖を材料に不溶性グルカンを作って歯の表面に付着し、歯垢(歯の汚れ)を作ります。この歯垢の中でミュータンス菌は酸を作り、歯の表面の酸性の度合い(phの値)を下げ、より酸性な状態(ph 5.5以下)になって、歯のエナメル質を作っているハイドロキシ・アパタイトと呼ばれるカルシウムが急激に溶けだすことによって、虫歯の原因となると言う図式です。

そこで誤解を招いているのは歯磨きさえきちんとして歯垢をとれば虫歯にならないという思い込みです。また実際よく磨けていると言う人でもかなりの歯垢を取り残しているのが事実なのことと、あわせて多くの人たちが歯磨きは毎日きちんとやっているのにと思っている現状を踏まえた上で歯垢と虫歯について考えなくてはなりません。

たとえばスクロース(砂糖)は不溶性グルカンおよび酸をつくりだす両方の材料となりますが、歯垢の素になる不溶性グルカンを作らなくても酸を作るグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)でも砂糖と同程度の虫歯の発生することがわかっていて、このことから歯垢が直接の虫歯の原因ではなく、酸ができる状況か否かがもっとも重要なことだということです。そうなると歯磨きは意味がないのではないかという疑問に直面してしまいますが・・・。

2005/06/26

キシリトールのこと#1

キシリトールはトウモロコシの芯や白樺、樫やなどを原料にキシランと言う多糖類を抽出し、それを加水分解してキシロースという単糖としたあと、さらに触媒を使って水素を添加(還元)し造られる糖アルコールの一種で、一般に糖アルコールはグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などの糖に水素を加えて還元したものを言います。またこのような糖アルコールにはソルビトール、マルチトール(還元麦芽糖)など色々なものがあります。まぁ小難しいことはさておいて、近年虫歯にならない甘味料としてキシリトールは一般にずいぶん広く知られるようになりました。

この糖アルコールは砂糖に比べ甘味が少ないため、甘味料としてあまり注目されませんでしたが、唯一キシリトールはこの糖アルコールの中でもっとも甘くほぼ砂糖と同じ甘さだと言われています。また砂糖を口に含んで溶けだすときにスーッとした感じがありますが、これは溶解時に吸熱反応が起こるためで、キシリトールの場合この溶解時の吸熱反応が砂糖より数倍(約8倍)大きいため、より冷涼な感じを受けます。このような特徴を持ったキシリトールですが、天然素材をもとにして造られるため天然素材甘味料と称して、その言葉のニュアンスから自然食品のような健康に良いイメージを消費者に抱かせてしまうことが問題かと思います。すべからく人工的に造られたものはその素材に天然物を用いていることは明らかなことで、キシリトールも人工的な甘味料の一つにほかならないのです。また、最近のダイエット思考からイメージだけで砂糖ではない甘味料を選ぶとしたら、これも正しいとは言えないかもしれません。事実キシリトールのカロリーは3.0kcal/gあり、砂糖の4.0kcal/gと比較しても決して低カロリーとは言えません。そこで、前述の通りキシリトールが虫歯にならない甘味料として一般によく知られているといっても、実際はどうなのか、何度かにわけて記事を書いていこうと思います。

2005/01/14

しばらくお休みします

歯科衛生士、宇津木の事情により、ひとくちメモは4月までお休みさせていただきます。それまで暫くお待ちください。

どれくらいやればよいのでしょうか

まず、磨くところを6カ所のブロックに分けてみましょう。上の左右奥歯、前歯、そして下の左右奥歯と前歯です。磨き残しの無いように、まずは左下の奥歯から、奥歯のかみ合わせの所を30回、毛先が歯と歯肉の境目に当たるように、歯ブラシをほっぺた側に少し傾けて30回、今度は舌のある側に同じように傾けて30回磨きましょう。奥歯は併せて90回磨きます。これで大抵はきれいになります。一度にきれいにしようと思わなくても大丈夫です。少しくらい取り残したとしても、一日で虫歯ができるわけではありませんから。大切なことは、子供の歯を磨くお母さんやお父さんに基準が必要なことと、これに沿っていつも同じように習慣づけて行うことです。

2004/11/03

子供の歯磨き2

歯磨きは順序を決めて

子供の歯磨きをするときに、どこから始めますか?そんなこと考えたこともない、と言うお母さんが多いのではないでしょうか。ですから同じ所を行ったり来たり、何度も磨いてしまいます。子供にしてみれば、そこはさっきやったのにまたやるの〜?と思うに違いありません。いつも決まったところから始めて、同じように終わるパターンを作っておけば、たとえ子供が歯磨きの途中で嫌がったとしても、こことここが残っているから、あと少しなのでがんばりなさい、と言えるのではないでしょうか。これでお母さんに基準が一つできました。

2004/11/01

子供の歯磨き1

子供が歯磨きを嫌がって、なかなか磨かせてくれない、と言うお母さん方が結構おられます。それぞれのご家庭に事情はあるでしょうが、子供が歯磨きを嫌がることを、すべて子供のせいにしてはいけないと思います。子供にとって歯磨きなんか嫌なものでしかありません。でも歯磨きは健康の自己管理の第一歩ですから、大切な躾(しつけ)の一つだと思います。そこで、診療室にお越しになったお母さんに、お家でされているように子供の歯磨きをして頂くと、お母さんご自身に歯磨きの基準を持っておられないことに気づきます。それは、どこから磨き始めるか、どれくらいやったらきれいになるのか、と言うことです。お母さんご自身に基準がないため、子供が嫌がったところで歯磨きを終えていませんか?これでは子供に主導権を握られてしまっていますから、いつまでたっても歯磨きができるようにならないと思います。